山梨県 トピックス 土橋 功(どばしいさお)氏 インタビュー2

土橋 功(どばしいさお)氏 インタビュー2

今回のインタビューは、2回に渡りインタビュアー小野文子(おのあやこ)が学生時代よりお世話になっているお兄ちゃん的存在の土橋功(どばしいさお)さん(元ヴァンフォーレ甲府選手、教員を経て現在中国でサッカー指導者育成 昭和50年生まれ現39歳)に、これまでの指導者経験や現地にいるからこそ感じた他国との違い、今後の日本の高校サッカーについてざっくばらんに伺いました。

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Vol.2 山梨県の高校サッカー~今後の子ども達へのメッセージ。

小野:山梨の高校サッカーの印象は、土橋さんが高校生の時と比べるとどうですか?
土橋:的が少しずれるかもしれないけど、教員として中学校の顧問をしていた初めの頃、サッカー部の選手に「進路はどうするの?」って聞くよね。
そうすると「家から近い○○高校」とか言っていて・・・。
「サッカーは?」って聞くと「僕なんか行っても出れないし・・・。」とか言う選手が多かった。
自分たちの時代は「○○高校が強いから行きたい。」とか「○○高校でサッカーしたい」って言うのがあったと思うんだけど。そこはちょっと印象が変わったかな。
もちろん学力も関係はするけれどね。言うなれば、今の子ども達の方が現実主義的な考えなんだろうね。
俺的には「出来るって。」って思うけれど、自分の可能性を自分で線を引いている子ども達が多く、現実だけを見すぎてしまっていると感じるよ。
指導している中でそのあたりがもどかしいな~って感じたかな。
それに比べ、クラブチームの選手は県外志向が強い傾向があるよね。
その逆で県内の私立高校は県外の選手ばかり・・・。だから山梨の選手が山梨で活躍できていないというか・・・。そんな印象!!   やっと本題に戻った??

小野:なるほど…。確かにそうですね!!クラブチームなどが多くなってくるとそういった比較も出てきてしまうのは仕方ない事なのでしょうか…。
土橋:「どうせクラブチームの奴らには勝てない…。」みたいな考えになってしまう子ども達は多いと思うよ。
そんなことないのにね!!
もっと夢持ってサッカーしてもいいんじゃないかなって思うよ。だって夢中になってサッカーできる時期なんて限られてるから・・・。
小野:それってどうなのでしょう…。良くもあり、悪くもあるのかな。昔なんか、部活しかなかったですしね…。
土橋:強いチームがいるという事は良い事。お互いに切磋琢磨していくことが大切であり、お互いが成長し合える。
そのためには、指導者が目先の勝負の事だけでなく、もっと大切な事を選手に伝えていく必要性があるよね。
誰にでも、どのチームにいても同じようにチャンスはあるし、可能性は無限にあるっていうことを。
その人の心ひとつだよ!指導者はその心を育てて引き出していくことが大切なんだよ。

中学校教員当時の生徒たちと
(中学校教員当時の生徒たちと)

小野:山梨の高校サッカーに望む事は?
土橋:さっきも少し話たけど、県内の優秀な選手が県外に流れている現状がある。
県内の強豪校は全国から選手が集まる。それは致し方ないこと。
でもやっぱり県内の選手が活躍できる魅力あるチームがたくさん増えるといいなと思う。
それと若くてサッカーを指導できる教員(指導者)が増える事かな!
中体連も少ないけれど!自分が中学、高校の時は情熱がある指導者がたくさんいたから。
今の時代は責任問題とかいろいろ難しいところがあるけれど・・・。
それでも選手のために一生懸命になれる指導者が増えると、選手は純粋にサッカーに打ち込めて、本気で夢や目標を追う事ができるんじゃないかな。
顧問というと学校の問題でもあるから必ずしもサッカー経験者が顧問をしているわけではないんだよね。それでも顧問になって子どもたちと関わっている以上は子どもたちの未来に触れているという責任が出てくる。
指導者養成の立場から言わせていただくと、ライセンスの取得や研修など学ぶ機会を増やしてほしいですね。
ライセンスがすべてだとは思わないけど、少しでも学ぶことで良い指導ができる事は確かなので・・・。
小野:お兄ちゃん・・・。考えてますね。
土橋:おい~~。
小野:なんだかんだ山梨の選手が活躍してくれると応援の熱の入り方も違うのですよね・・・。
土橋:もちろんそうでしょ~。
学校の友だちや普段接している身近な人たちが、声かけてくれたり応援に来てくれたりね、そんな仲間がたくさんいるのは高校サッカーの良さでもあると思うんだよね。
そりゃもう選手としてはモチベーションも上がる一方でしょ。
その中で、山梨の選手が育ってきている事は間違えない。県外に出ても活躍している選手は多いし、キャプテンを任されている選手もいたりするからね。
これは全国的にいえる事だけど、山梨のサッカーもここ数年は私立高校が上位を占めているでしょ。そこへチャレンジしてレギュラーとして活躍する選手が増えてきてほしいし、公立高校でも私立高校を倒せるようなチームがもっと増えてきたら山梨のサッカーはまたレベルアップするし盛り上がるよね。
私立高校で全国優勝を目指すことも面白いと思うけれど、公立高校で全国優勝目指すほうがもっと面白いと思うな!俺的には!
小野:私的にも!!
トップ選手になるような子どもたちは、そうやって早い段階から夢をもって頑張ってほしいなって思いました。
土橋:だから公立高校でも本気で夢を目指せるようなところが増えてくると良いよね。
小野:そうですね!!最後に山梨で高校サッカーを頑張っている選手たちにメッセージをお願いします。
土橋:思い切りサッカーを楽しんでほしいって事かな!
俺はここまでやってきたんだってものを表現してほしいわけ。
今は努力とか泥臭いこととか、カッコ悪いみたいなところがあるけれど・・そうじゃないと思うんだよ。
だって高校サッカーは人生で一度しか経験できないわけだし、ひたむきにプレーしてみんなで喜んだり悲しんだり一喜一憂出来るのが高校サッカーの良さでしょ。
それが感動を生むわけ、思いっきり心で感じて欲しいね。
今出来ることを一生懸命やってすべてを楽しんで欲しいな。
人生と同じで良い時もあれば悪い時もある、それも含めてサッカーであって自分にとって必要な経験なんだよね。
ちょっとしたミスや苦しさから逃げたり恐れたり・・・。そんなこと気にしなくていい!
だってみんなサッカーが好きで上手になりたくてサッカーを始めたわけでしょ。
相手を抜いたり、パスしたり、シュートを決めたりその一つ一つがちょっとずつうまくなっていくのが楽しくてうれしかったはず!
その気持ちを忘れずにサッカーしていたらまた違ったものが見えてくるし感じることができるから!学校の勉強では教えてくれない目に見えない大切なものを感じて、心の財産を沢山増やしてほしいんだ。そして、皆に感動を与えられる人になってください!期待しています。

土橋 功
インタビュー対象者
土橋 功/Dobashi Isao (1975年生)

甲府市出身
琢サッカースポーツ少年団→甲府東中学校(Uスポーツクラブ)→韮崎高校→日本体育大学(1年間休学してドイツ留学)→ヴァンフォーレ甲府選手。
ヴァンフォーレ甲府Jrユース監督・ヴァンフォーレ甲府トップチームアシスタントコーチ兼任→
スペイン留学(Real Racing Club de Santander S.A.D)→フォルトゥナSC→教員

47FA指導者育成チーフインストラクター
U12モデル地区トレセンモデルコーチ
現在、中国スーパーリーグ杭州緑城足球倶楽部の育成チームの指導者として活躍中。
日本サッカー協会公認A級保持

インタビュアー
小野 文子/Ono Ayako (1977年生)

韮崎市出身
韮崎西中学校→韮崎高校(アナウンス部全国大会山梨代表)
全国高校サッカー選手権山梨大会会場アナウンサー
→玉川学園女子短期大学幼児教育科→幼稚園教諭。
ヴァンフォーレ甲府スタジアムDJ
UTYQGガール
フリーアナウンサー
プリンセス天功ショー、花子とアンシンポジウム等イベント司会

サッカーバンク編集部
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