山梨県 トピックス 高校サッカー・夏

高校サッカー・夏

夏が来ると思い出す。
日焼けした顔、純粋な眼差し、真剣な眼差し。
サッカーに青春をかける少年達。

10_01_R

どんなに疲れていても、足が動かなくても、試合に出られずベンチに座っていても、 メガフォンで応援していても、試合に大敗していても、涙が溢れていても・・・。

眼差しだ。
目が死んでいなければ問題ない。
目が活き活きと輝いているかが大切だ。

魚の鮮度を見分けるには、目が澄んでいるかどうかで見分けるらしい。
同様に活き活きとしている選手達の目は澄んでいる。

人が輝いているときは、やっぱり目が輝いていると思う。
作り笑いかどうかは目を見ればわかる。

夢を語っているとき、大好きな事を語っているとき、熱中しているとき、 目の奥からその少年の心が見えてくる瞬間を感じる。
私がエネルギーをいただける瞬間でもある。

10_02_R

そんな高校生達の夏も3回しかありません。

憧れの高校に入学し緊張と頑張りで訳もわからず気がつけば過ぎてしまった1年の夏。

コーチや先輩の前でも1年の時ほどの緊張感も減り、雑用も減り、コーチからの激も減り、親との会話も減った気がする。
その時はやりきったと思っていたが、今振り返ると、どこか楽に過ごしてしまった2年の夏。

そして気がつけば、高校生活ラストの夏がやって来た。
15,6歳の少年も18歳だ。 三者面談、大学受験、進路について考える。

先生からは「こんな成績ではどこも受からんよ」 親からは「お前この先どうするんだ」「いつまでサッカーを続けるんだ」

多くの高校生がサッカーを真剣にやれるのがあと数ヶ月あるかないかであることに今さら気づく。

サッカーは続けたい、進学もしたい、それでも小学生中学生の時のように好き勝手に言えない自分。
家庭の経済的事情、弟や妹の事も考えたりもする。 親には申し訳なくて、なかなか本心は伝えられない今の自分がいる。

心も躰(からだ)も大人に近づいた夏。 そしてこの夏が終わると、あっという間に9月、10月、11月、12月と過ぎていく。

夏の間に自分のやりたいことを今一度見つめ直して欲しい。
夏の間に自分のこころを整えて欲しい。
夏の間に自分の足りない所を補って欲しい。
夏の間に自分の長所を伸ばして欲しい。
夏の間に朝から晩まで毎日毎日やりきって欲しい。

大学でもサッカーを真剣に続けられる高校生は一握りとなる。
それでも私は 続けられる選択肢を幸運にも与えていただけているのであれば、続けて欲しいと願う。
今は見えなくても続けているとその先に見えてくる人生があるから。

人生はスマホやゲームのようにリセットができない。

親は君を心配して安定した進路や会社を望むであろう。

安定は直訳すると変化がないということだ。

世の中は常に変化している。変化していないときがない。
安定を求めること自体が人生においてナンセンス(無意味)だと私は思う。

それよりも人生を航海や登山に例えるならば、 荒波をバランスよく舵を取り乗り越えていく人生。
険しい崖にピッケルを確実に打ち込みながら一歩一歩登っていく人生。
親はその人生に立ち向かう息子に対して成功を願って欲しいと思う。

一度きりの人生。

18歳の君が5年間失敗し続けたとしてもまだ23歳程度です。
私の歳の半分にも届きません。

若いって素晴らしいことです。
それだけで誰にも負けない最強の武器を君は持っていることに気づいて欲しい。
その最強の武器を使えるのは今だけであることにも気づいて欲しい。

10_03_R

——————————————————————————————————–
人生って本当に死ぬまで勝負はわからないんです。
たとえこれまでの人生が99敗であったとしても、死ぬ直前に一勝できたとしたら、 その一勝というのは99敗を上回る質の高い一勝かもしれませんね。
最後まで諦めないこと。敵は闘っている相手ではなくて、自分自身の弱い心だということを改めて心に刻んで、これからも歩んでいきたいですね。
〈致知8月号・我が人生我が経営・小路明喜氏より抜粋転載〉
——————————————————————————————————–

私も似たような事を子ども達に話しています。
5勝5敗。
5敗5勝。
どちらも勝率は同じです。

しかし中身は全く違うことに気づいてください。

5回勝ち続けて、俺は負け無しだと自慢していたら1つ負け、2つ負け、いつの間にか5回負け続けていた。

5回負け続けて、謙虚な心で努力し続けて1つ勝ち、2つ勝ち、いつの間にか5回勝っていた。

人生の勝率はほぼ同じだと思います。

10_04_R

穴を掘った分、それだけ水が溜まる。
勉強した分、それだけ知識が増える。
毎日走っていれば、試合中もそれだけ走り切れる。
悔し涙を流した分、うれし涙も同じだけ流せる。
頭を下げた分、同じだけ人様から頭を下げていただける。

人生は5勝5敗よりも5敗5勝で行きたいものです。
人生も見た目の数字や肩書きではなく、 中身やプロセスに価値を見いだして欲しいと思います。

若い時だからこそ活き活きと輝いた眼差しで人生の山を登ってください。

安定は山を登ったあとでも大丈夫です。

高校生諸君!
夏を全身全霊で楽しみましょう!

10_05_R

大きな山に登ってみると、人はただ、さらに登るべきたくさんの山があることを見出す
after climbing a great hill, one only finds that there are many more hills to climb
ネルソン・マンデラ Nelson Mandela

 

田畑雅宏

田畑雅宏(52 歳)

1988 年「小淵沢サッカースポーツ少年団」設立と共に監督となり 2002 年迄監督を務める現北杜市にサッカー部がない中学校も数校あった事から同年に峡北地域初のクラブチーム「FC 八ヶ岳」を設立しジュニアユースの育成に力を入れはじめる。2005 年には北杜市のスポーツ文化向上を目指し NPO特定非営利活動法人「八ヶ岳北杜グランデフットボールクラブ」を設立する。現在はヴァンフォーレ甲府と提携し「ヴァンフォーレ八ヶ岳」と名称変更し山梨県のスポーツ文化発展と U12,U15 の育成活動を行っている。

著者のブログ

2005 年からサッカーだけを書き続けている熱いサッカーブログは親と指導者必見です。

「フットボール症候群」

http://vgoal.net/football/

Page Up