高校サッカー・卒業
毎年、様々な選手達のドラマをみつづけています。
小学校、中学校、高校、と選手達の卒業をみてきました。
小学6年生でサッカーをやめた子。
中学3年生でサッカーをやめた子。
高校3年生でサッカーをやめた子。
止める、辞める、病める、色々なやめるがあります。
できれば止めただけにしたいです。 いつかまた動き出せますから。
小学生の時は県選抜で活躍。
この頃は簡単にゴールが決まっていた。
結構ミスが多くてもコーチから怒られることもなかった気がする。
中学生になるとオスグットになる。思うようにプレーが出来なくなる。
小学校の時、自分より小さかった仲間に身長やスピードで抜かされる。
地元高校サッカー部に入るもなんとなく3年間が過ぎて卒業。
いつのまにか親もサッカーへの関心が低くなっていたし、大学でサッカーをやろうとは考えていない自分に気づく。
小学生の頃は全く目立たず地域トレセンにも選ばれていなかった。
試合はいつも途中出場。
中学生になって明らかに目が輝きだす。別人のように積極的に取り組みだす。
小学生時代県選抜の仲間を追い抜いてフル出場するようになる。
高校生になって全国大会レギュラーで出場。
大学サッカーで活躍。
何百人という選手をみてきましたが一人一人の環境もタイミングも違います。
人は皆、成長のスピードが違います。
人生は千差万別です。
子どもは、親や指導者の思い通りには成長しないです。
子どもが生まれたとき。
親が願ったこと。 「サッカーの日本代表になって欲しい」ではありませんでした。
「東大に入って欲しい」でもありませんでした。
親が願ったこと。 それは、
「元気に育って欲しい」
それだけであったと思います。
人間は欲張りです。
ボールを追いかけてフィールドを駆け回っている。世界一の幸せな我が子がいる。 それなのに、いつのまにか、それだけでは不満な親になっている。
「2年になってもAチームに入れなかったらサッカーをやめる約束したよね。」
勉強しても同じように、親が望む大学に入れなかったら、その親は子どもに何を止めさせるのでしょうか。
親が望む会社や職種に就けなかったら、その親は子どもに今度は何を止めさせるのでしょうか。
今年も私のジュニアユースクラブは3年生を送る会がありました。
17名の子ども達が卒業していきました。
3年間で公式戦に出場したのはラストゲームで数分という選手もいます。
公式戦の応援だけで一日が終わった日も何回もありました。
それでも3年間練習を休まず遠くから通い続けてきました。
他所から見たら、そんなクラブ辞めたらと思うかもしれませんね。
本人が、サッカーが大好きなのです。
本人が、このクラブが大好きなのです。
私も、彼が大好きなのです。
そんな彼を、親が黙って応援し続けたということです。
親が立派です。というか、親とは、そういう存在です。
おそらくは子どもが辛かった時や迷った時も沢山あったと思います。 きっと多くの高校サッカー部においても、ぐっと涙を堪えて、口を閉じて、我が子を黙って応援しつづけた親御さんが沢山いたと想像できます。
親のみなさんに、卒業の卒に口をつけた言葉を贈ります。
「啐啄」(そったく)です。
啐啄とは雛が、かえろうとするとき、雛が内からつつくのを「啐」、母鳥が外からつつくのを「啄」というのですが、ほんの少し外から割れやすいように母鳥が手助けをしてあげるということです。
子どもが一生懸命挑戦している。
悩んでいる。迷っている。
そんな時、子どもに気づかれないように導いてやるということです。
ほんの少し背中を押してあげるということです。
勇気づけてやるということです。
止めさせる事は簡単ですが、子どもの人生における絶好のチャンスを潰すことではありません。可能性を広げてあげることです。
親の役目は、子どもが大人になったとき、親の助けを借りずに立派に生きていけるようにすることではないでしょうか。
その為には、子どもに自信をつけさせてあげることが大切です。 好きなこと、熱中することがあると自信はつけやすいです。
小学校卒業、中学校卒業、高校卒業、と3回ありました。
この節目、節目で啐啄のチャンスが転がっていたはずです。
うまく啐啄できなかった親御さん方、高校を卒業しても間に合います。 是非、啐啄してあげてください。
そして高校を卒業したサッカー小僧達よ。 更なるサッカーに挑戦する道に運良く進めた君。 違う道への新たなる挑戦を決めた君。 君達の成功を祈ります。 そして サッカーを止めたとしても、またいつか、サッカーを始めてください。
親は、子どもの楽しい姿を見るのが一番幸せだからです。
卒業は成長の証です。
